高齢者の視覚特性を知っておこう
老化と共に衰える視覚
高齢になると近くの物が見えづらくなり、ぼやけて映るようになります。また、部屋が暗く感じたり眩しく感じるのも高齢者特有の視覚特性です。高齢者の視覚的な変化として最も有名なのは「老眼」です。焦点が合わせづらくなり、物や景色がぼやけて見えます。70歳以上の人の多くは老人性白内障を発症していますが、視覚の衰え自体は40歳くらいから始まるといわれています。紫外線の影響によって眼球の水晶体が黄色く変化していき、瞳孔などを調整する筋力が老化により衰えていきます。レンズの役割を持つ水晶体に色がつくため、色彩にも変化が表れます。まるで黄色いサングラスをかけたかのように見えるため、色彩が判別しづらくなります。例えば、黄色の補色にあたる青色が、灰色っぽく見えてきます。すると、青色を使っている標識が見えにくくなり、事故のリスクが高まります。
老眼は徐々に進行していくので、自覚症状がない人も多いです。初期の段階で適切な処置をすれば進行を遅らせることもできますが、止めることはできません。介護の現場においては、このような高齢者の視覚特性を理解した上で、適切な照明を配置するなどの環境作りが求められます。部屋の配色についても、明るさが同じにならないようにコントラストを効かせた配色にするなどの配慮が必要です。
組み合わせが重要
高齢者の視覚特性に対応するためには、「暗い色同士を組み合わせない」「明るい色同士を組み合わせない」ことを意識する必要があります。具体例を挙げると、「水色と肌色」「水色と薄い灰色」「青色と茶色」などはコントラストが少ないので見えづらいです。明るさに差を出すのであれば「白色と黒色」「白色と濃い緑色」「青色と黄色」などの組み合わせがおすすめです。また、高齢者は明るめの色を好む傾向があるので、「ピンク色」「黄緑色」「オレンジ色」「水色」などを使うのも効果的です。家具を選ぶ際の参考にするといいかもしれません。見えやすいように明るさに差をつけることも重要ですが、心の落ち着きも大切なので、「藍色」などの懐かしさを感じるような色彩をどこかに取り入れるのも効果的です。
注意すべきなのが、「高齢者は地味な色彩を好む」と決めつけないことです。色彩の好みは個々で異なるので、「高齢者だから」という理由で選んではいけません。あくまで相手の性質を理解した上で選ぶ必要があります。
以下に、介護環境に色彩を活用する際に役立つサイトを紹介しますので参考にしてください。
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